映画『ミス・マルクス』

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カール・マルクスの娘エリノア・マルクス。その知られざる激動の半生を初映画化!

(Photo by Emanuela Scarpa)

19世紀を代表する哲学者、経済学者カール・マルクスの末娘エリノア・マルクスの激動の半生を描いた『ミス・マルクス 』 (原題:MISS MARX 配給:ミモザフィルムズ)がシアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテを皮切りに、9月4日(土)から全国順次公開となります。

 主人公エリノアに扮するのは、フランソワ・オゾンの『エンジェル』(07)で脚光を浴び、『つぐない』(07)、『未来を花束にして』(15)やBBCのテレビシリーズ『エマ〜恋するキューピッド〜』(09)で高い評価を受けたロモーラ・ガライ。知性と洞察力を持ちながらも、抜き差しならない恋愛に引きずられるエリノアの心情を鮮烈に表現。「控えめながら、文句なしに人の心を打つ演技」(英・ガーディアン紙)、「強烈なパフォーマンス」(米・インディワイアー誌)など、世界的に絶賛を浴びました。

 またエドワード役には『戦火の馬』(11)や、Netflixの世界的大ヒットドラマ『クイーンズ・ギャンビット』(20)で知られる演技派パトリック・ケネディが扮する他、カール・マルクス役を『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』(05)のフィリップ・グレーニング監督が演じます。

 監督・脚本を手掛けたのは、前作『Nico, 1988』(17)でヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞を受賞したイタリア出身のスザンナ・ニッキャレッリ監督。本作『ミス・マルクス 』は2020年のヴェネツィア国際映画祭でワールド・プレミアを迎え、FEDIC賞(イタリア・シネクラブ連盟賞)、ベストサウンドトラックSTARS賞を受賞しました。またイタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で11部門のノミネートを受け、プロダクション賞、作曲賞、衣装デザイン賞の3冠を受賞しています。衣装にもニッキャレッリ監督のモダーンなアプローチが反映され、クラシックなスタイルを踏襲しながらも、70年代のヒッピー文化に顕著なペイズリー柄を彷彿させるようなカラフルなアレンジが見られます。

(Photo by Dominique Houcmant)

<STORY>

1883年、イギリス。最愛の父カールを失ったエリノア・マルクスは劇作家、社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い恋に落ちるが、不実なエイヴリングへの献身的な愛は、次第に彼女の心を蝕んでいく。社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人として時代を先駆けながら、エイヴリングへの愛と政治的信念の間で引き裂かれていくエリノアの孤独な魂の叫びが、時代を超えて激しいパンクロックの響きに乗せて現代に甦る。

エリノア・マルクス Eleanor Marx

1855年1月16日、イギリス、ロンドンで、マルクス家の6人目の末娘として生まれる。

長女ジェニー、次女ラウラとエリノア以外の子どもは幼くして亡くなっている。ジェニー・ジュリア・エリノアと名付けられ、若い頃から「トゥッシー」のあだ名で呼ばれた。子どもの頃から政治に深い関心を抱き、10代から父の秘書として働く。労働者や女性の権利のための戦いに人生を捧げる一方で、父の遺作、そして「資本論」の英語版の刊行を手掛けた。また、幼い頃からウィリアム・シェイクスピアを始めとする文学や演劇への関心が深く、後に文学作品や演劇作品の翻訳も手掛けている。ギュスターヴ・フローベールの「ボヴァリー夫人」やヘンリック・イプセンの戯曲「海の夫人」や「民衆の敵」などを最初に英訳し、「人形の家」のノラ役を始め、その戯曲を俳優として演じることもあった。きわめて強い政治的信条を持ちながら、感情面では非常にもろかったエリノアは、劇作家・俳優で確固たる信念をもった社会主義者だったエドワード・エイヴリングとの有害な関係に負けてしまった。

エリノアの人生は、現代において女性であることがはらむ多くの矛盾や、女性解放の過程の複雑さを示している。ブルジョア階級、労働者階級を問わず、家庭内で女性が強いられる服従から、児童労働の残酷さに至るまで、いくつかの問題の緊急性を初めて明示したのが、エリノアと彼女の同志たちだった。1898年3月31日死去。享年43歳。

<インフォメーション>

映画『ミス・マルクス』

9月4日(土)、シアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテより、全国順次公開!

監督・脚本:スザンナ・ニッキャレッリ

出演:ロモーラ・ガライ、パトリック・ケネディ、ジョン・ゴードン・シンクレア、フェリシティ・モンタギュー、フィリップ・グレーニング

2020年/イタリア=ベルギー/英語・ドイツ語/107分/カラー/ビスタ/5.1ch/原題:Miss Marx/字幕:大西公子

後援:イタリア大使館、イタリア文化会館、ベルギー大使館

配給:ミモザフィルムズ

© 2020 Vivo film/Tarantula

公式サイト:https://missmarx-movie.com